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「きんたろう\金太郎」 第30類「菓子及びパン」等

◆対象商標:

「きんたろう\金太郎」

第30類「菓子及びパン,和菓子,甘栗,甘納豆,あめ,あられ,あんころ,いり栗,いり豆,おこし,かりんとう,ぎゅうひ,氷砂糖,砂糖漬け,汁粉,汁粉のもと,ぜんざい,ぜんざいのもと,せんべい,だんご,練り切り,水あめ,みつまめ,蒸し菓子,もち菓子,もなか,もなかの皮,ゆで小豆,ようかん,らくがん,洋菓子,アイスキャンデー,アイスクリーム,ウエハース,カステラ,乾パン,キャラメル,キャンデー,クッキー,クラッカー,コーンカップ,シャーベット,シュークリーム,スポンジケーキ,タフィー,チューインガム,チョコレート,ドーナツ,ドロップ,ヌガー,パイ,ビスケット,フルーツゼリー,フローズンヨーグルト,ボーロ,ホットケーキ,ポップコーン,マシュマロ,焼きりんご,ラスク,ワッフル,あんぱん,クリームパン,ジャムパン,食パン,バンズ」

 

◆種別と審判番号:

無効の審決

無効2014-890038

 

◆審決日:

2015/09/15

 

◆関連条文:

商標法第3条第1項第1号

商標法第3条第1項第2号

商標法第3条第1項第6号

 

◆結論:

本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

 

◆理由:

1 「金太郎」及び「金太郎飴」について

上記1認定の事実によれば、以下のとおり認めることができる。

(1)「金太郎(きんたろう)」とは、「怪童伝説の主人公。腹掛をかけ、まさかりを担いでいる人形」を意味するものと認められるものであって、「金太郎飴」とは、別異のものである。

 

(2)「金太郎飴」は、江戸時代の元禄飴に端を発し、被請求人の2代目謙一郎が足柄山の金太郎をモチーフに、子どもの顔の絵柄からなる飴を作成し、その名を付けたのが始まりとされ、大正時代から昭和の初めにかけて、「飴のなかから金太さんが飛び出たよ」とのうたい文句で、金太郎飴は全国的に売り出された。

 

(3)請求人は、遅くとも、本件商標の登録査定日前である平成17年5月10日から、いわゆる「かき氷バー」(氷菓)に「金太郎」の文字を使用していた。

 

また、本件商標の登録査定日前である2007年(平成19年)4月30日には、「金太郎だんご」と称する商品「だんご」が販売されていたことが推認できる。

 

なお、これらの使用時には、「金太郎」の文字を縦書きにしてなり、これらの使用商品(氷菓、だんご)と類似する第30類「飴、飴菓子、有平糖」を指定商品とする、被請求人の件外登録第193896号の2商標が存在していた(上記1(3))。

 

2 商標法第3条第1項第1号及び同項第2号の該当性について

本件商標にかかる「金太郎(きんたろう)」は、「怪童伝説の主人公。腹掛をかけ、まさかりを担いでいる人形」を意味することから、これに接する取引者・需要者をして、そのような「金太郎」(怪童伝説の主人公。腹掛をかけ、まさかりを担いでいる人形)を認識するものと判断するのが相当である。

 

よって、本件商標は、商標法第3条第1項第1号及び同項第2号のいずれにも該当しない。

 

3 商標法第3条第1項第6号の該当性について

(1)「金太郎飴」について

商標法上の普通名称とは、「取引界においてその名称がその商品又は役務の一般的な名称であると意識されるに至っているもの」と解すべきであるから、「金太郎飴」が飴の一種を指す普通名称であるというためには、取引界においてその商品の一般的な名称と認められていることが必要である。

 

被請求人は、昭和7年10月4日には、指定商品「飴」等について「金太郎」の文字からなる商標権を有しており、遅くとも昭和9年には、被請求人と同人から「のれん分け」を許された者とから構成される「金太郎飴組合」が組織され、同組合において金太郎商標を使用するとともに、少なくとも昭和63年以降現在に至るまで、普通名称化防止の観点から、請求人を含む、金太郎商標の無断使用者に対して、通知書(警告書)等を送付し、和解するなど、普通名称化防止の努力を継続して行っていることが認められる。

 

あわせて、第三者が金太郎商標を使用する際には、被請求人と許諾契約書を取り交わしていることも認められる。

 

そうだとすれば、本件商標の登録査定時において、たとえ「金太郎飴」が辞書等に記載されていたとしても、「金太郎飴」は、商品「飴」の取引界において、いまだ特定の飴を指称する一般的な名称であると認めることはできないから、普通名称化していたとはいえないものである。

 

また、本件商標の登録査定時において、商品「飴」について、商標中に「○○金太郎飴」や「金太郎飴○○」などのようにして「金太郎飴」との表示が用いられていたと認めるに足りる証拠はないから、同業者間において普通に使用されるに至った結果、自己の商品と他人の商品とを識別することができなくなった慣用商標であったともいえないものである。

 

したがって、「金太郎飴」との表示は、商品「飴」についての普通名称又は慣用商標であるとは認めることができない。

 

(2)同業他社による「金太郎(きんたろう)」の使用について

請求人提出の証拠によれば、本件商標の登録査定日前に「金太郎」の文字を商品「菓子」に使用していたと認め得るのは、「金太郎だんご」(だんご)と「金太郎」(氷菓)のみであるから、これらをもって、「金太郎」ないし「きんたろう」の文字を本件商標の指定商品に使用している事業者が多数存在するとはいえない。

 

これより、本件商標が、特定人による独占使用を認めるのを公益上適当としないものであると認めることも、一般的に使用される標章であって自他商品の識別力を欠くために、商標としての機能を果たし得ないものであると認めることも、いずれも到底困難であるといわざるを得ない。

 

本件商標は、その指定商品について自他商品の識別標識としての機能を十分に果たすものと判断するのが相当である。

 

よって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当しない。

  

  

◆コメント:

妥当な審決であったと考える。

 

 

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