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「ROMEO GIGLI」 第24類 第25類

◆対象商標:

「ROMEO GIGLI」

第24類

第25類

 

◆種別と審判番号:

拒絶査定不服の審決

不服2017-3558 

 

◆審決日:

2017/06/28 

 

◆関連条文:

商標法第4条第1項第8号

 

◆結論:

本件審判の請求は、成り立たない。

 

◆理由:

(1)商標法第4条第1項第8号について

商標法第4条第1項第8号は、他人の肖像又は他人の氏名、名称、その著名な略称等を含む商標は、当該他人の承諾を得ているものを除き、商標登録を受けることができないとする規定である。

 

その趣旨は、肖像、氏名等に関する他人の人格的利益を保護することにあると解される。

 

したがって、他人の肖像、氏名等を含む商標につき商標登録を受けようとする者は、他人の人格的利益を害することがないよう、自らの責任において当該他人の承諾を確保しておくべきものである(最高裁平成15年(行ヒ)第265号同16年6月8日第三小法廷判決)。

 

(2)本願商標の商標法第4条第1項第8号該当性について

ア 本願商標

本願商標の「ROMEO GIGLI」は、イタリア出身のファッションデザイナーである「ROMEO GIGLI」(ロメオ・ジリ)の氏名を表したものとして認識されるものであることについては、請求人も争っていない。

 

よって、本願商標は、他人の氏名を含む商標であると認められる。

 

イ ロメオ・ジリ氏の承諾の有無

請求人は、本願商標の登録にはロメオ・ジリ氏からの承諾が必要であることは重々理解しながらも、同氏の経営していた会社の倒産にあたって、同氏が所有していた商標権が、請求人に強制的に移譲されたため、同氏から承諾書の作成に関する協力を得ることが不可能であることを説明している。

 

その上で、「ROMEO GIGLI」と実質的に同じ商標を複数の国において登録していること、「ROMEO GIGLI」の文字を表してなる日本の登録商標を、現在は請求人が有していること、また、需要者、取引者そして同氏から苦情や無効審判の請求もないことを、承諾書の代わりに示して、本願商標の登録につき同氏から承諾があるといえる旨を主張する。

 

しかし、我が国における商標登録出願の登録適格性は、他国の審査結果とは独立して判断されるべきものであるし、請求人が「ROMEO GIGLI」の文字からなる件外登録商標を現在有しているからといって、本願商標の商標法第4条第1項第8号該当性の判断が、これに左右されるものではない。

 

また、仮にロメオ・ジリ氏から苦情や審判請求などがないとしても、それをもって本願商標の登録につき同氏から明示又は暗示の承諾があったとはいえないことは明らかであり、その他、請求人からは、そのような承諾の存在を具体的に示す証拠の提出はない。

 

そのため、本願商標を登録することについて、ロメオ・ジリ氏の承諾を得ているものと認めることはできない。

 

(3)まとめ

以上のとおり、本願商標は、他人の氏名を含む商標であり、かつ、その他人の承諾を得ているものとは認められないから、商標法第4条第1項第8号に該当する。

 

 

◆コメント:

審判官は、まず「LEONARD KAMHOUT」事件を提示して商標法第4条第1項第8号の趣旨を明確にしている。

請求人は、諸般の事情により承諾書をもらえないが、特に苦情もない旨の主張をしている。

しかし、当然の如く審判官は承諾の存在を具体的に示す必要があるとして、請求人の主張を退けている。

 

 

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