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「らんぷ家」 第41類「ランプシェードやキャンドルホルダーにガラスや鏡で文様を描く加工制作の教授」

◆対象商標:
「らんぷ家」
第41類「ランプシェードやキャンドルホルダーにガラスや鏡で文様を描く加工制作の教授」
 
◆種別と審判番号:
異議の決定
異議2017-900050 


◆審決日:
2017/07/14


◆関連条文:
商標法第4条第1項第7号


◆結論:
登録第5896827号商標の商標登録を維持する。

 
◆理由:
(1)商標法第4条第1項第7号該当性について
ア 商標法第4条第1項第7号は、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」は商標登録をすることができないとしている。
 
商標自体に公序良俗違反のない商標が商標法第4条第1項第7号に該当するのは、その登録出願の経緯に著しく社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に限られるものというべきである。
 
そして、同号の「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれ」を私的領域にまで拡大解釈することによって商標登録出願を排除することは、商標登録の適格性に関する予測可能性及び法的安定性を著しく損なうことになるので、特段の事情のある例外的な場合を除くほか、許されないというべきである(平成14年(行ケ)第616号、平成19年(行ケ)第10391号)。 
 
イ 申立人の主張について
(ア)申立人は、「引用商標を使用した申立人事業は、上記のとおり頻繁に報道ないし紹介され、イベント等に出店され、さらに各種団体の行事に利用されることも少なくなく、引用商標は、本件商標の登録査定時までに、東京近郊のランプ作りに興味をもつ需要者の間で、相当程度知られていたものである。・・・ すなわち、引用商標には、申立人の営業努力によって獲得してきた顧客からの多大な信用・信頼が蓄積されており、その出所表示力、顧客吸引力は、申立人と強く結びついていることは明らかである。」旨を主張している。
 
しかしながら、申立人が提出した証拠からは、申立人の引用商標が、ランプ作りに興味をもった需要者の間で、相当程度知られていたものであることを認め得る証左(例えば、売上高、広告宣伝費、広告期間、規模及び回数等)を見いだすことはできない。
 
してみれば、引用商標は、申立人の業務上の信用、信頼が蓄積され、その出所表示力、顧客吸引力を伴った商標として、需要者の間に広く知られていたものとなっていたということができない。

 

(イ)申立人は、「商標権者は、引用商標『らんぷ家』を使用した申立人事業に係る業務に携わっていた者であり、引用商標及び当該事業の 存在を十分に認識していたにもかかわらず、申立人に無断で、申立人事業と同一の事業に係る役務について、引用商標と同一の本件商標『らんぷ家』を出願し、現に使用し、その上、商標権者は、・・・虚偽の事実を投稿し、需要者の混同を招来させているのであり、・・・利益を得ているのであるから、商標権者に、申立人の業務を妨害し、さらに申立人の顧客を不正な手段で誘引して利益を得ようとする不正の目的があることも明白である。」旨を主張している。
 
しかしながら、商標権者が申立人の事業に係る業務に携わっていた者であり、引用商標及び当該事業の存在を知っていたとしても、その事実だけで、商標権者が商標登録出願をすることが禁止されているものではない。
 
確かに、商標権者は、自己のウェブサイト等に、「らんぷ家は、秋葉原に移転しました。」、「日暮里のらんぷ家は閉店しております。」及び「らんぷ家は秋葉原に移動しております」の文言を掲載をしているものであるとしても、このことをもって直ちに、申立人の業務を妨害し、さらに申立人の顧客を不正な手段で誘引して利益を得ようとする不正の目的があるとは認められないものである。
 
そして、申立人は、同人の店舗と商標権者の店舗とが誤認されたり、申立人の店舗に予約をした顧客が誤って商標権者の店舗を訪れる事象が頻繁に発生したりしていることから、需要者の誤認混同が生じていることは明らかであるとし、これらを証明するものとして、黒く塗りつぶされたカレンダー及び黒く塗りつぶされたノートを証拠として提出しているが、これらの証拠からは、具体的な損害額やどの程度の頻度で客が間違えたか等は不明であり、申立人の業務を妨害し、損害を与え、商標権者が不正の利益を得ていることを裏付けているとまではいうことができない。
 
しかも、申立人は、本件商標について、その商標を自ら登録出願する機会は十分にあったというべきであって、自ら登録出願しなかった責めを商標権者に求めるべき事情を見いだすこともできない。
 
してみれば、申立人の主張及びその提出された証拠からは、商標権者が、本件商標を登録し、商標権を取得した行為が直ちに「剽窃的な行為」に当たるとはいえないものというべきである。
 
ウ 判断
これより、本件商標について、商標法の先願主義を上回るような、その登録出願の経緯に著しく社会的相当性を欠くものがあるということはできないし、そのような場合には、あくまでも、当事者間の私的な問題として解決すべきであるから、公の秩序又は善良の風俗を害するというような事情があるということはできない。
 
してみると、申立人が主張する、商標権者が申立人事業の表示と同一又は類似する本件商標の登録出願をし、登録を受ける行為が「公の秩序又は善良の風俗を害する」という公益に反する事情に該当するものということはできない。
 
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものとはいえない。
 
 
◆コメント
申立人と商標権者は、ある種の争いがあったようだが、本審決では当事者間の私的な争いには踏み込まないというスタンスを明確にして、それを貫いた判断をしている。
 
 
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